消費者金融や銀行でローンを組みたくても審査に通らない人は、公的融資制度を利用して国からお金を借りる方法もあります。
公的融資制度は生活に困っている人に対する融資のため、借り入れの審査に通らない人でも利用しやすいです。
ただし公的融資制度は利用条件が厳格に定められていて、誰でも利用できるわけではありません。
本記事では国からお金借りたい人に向けて以下の内容を取り上げました。
- 国からお金を借りる公的融資制度一覧
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 国からお金を借りるメリットと注意点
自分に合う借り方が分かるよう公的融資制度を一覧で紹介し、個人事業主が国から事業資金を借りる方法として日本政策金融公庫の融資制度も取り上げました。
国からお金を借りるメリットや注意点も紹介したので、借り入れをする前に確認してスムーズに手続きを行いましょう。
目次
市役所や国からお金借りる公的融資制度を一覧にして紹介
自分に合う借り入れ方法が分かるよう、市役所や国からお金借りる公的融資制度を一覧にした結果は以下の通りです。
公的融資制度 | 申込条件 | 相談先 |
---|---|---|
生活福祉資金 | ・低所得世帯 ・高齢者世帯 ・障害者世帯 |
社会福祉協議会 |
緊急小口資金 | 家計の急変により生活が困窮している人 | 社会福祉協議会 |
母子父子寡婦福祉資金 | ・ひとり親 ・寡婦 |
自治体の福祉担当窓口 |
たすけあい資金貸付 | 思いがけない出費が原因で日常生活に支障がある金融機関から資金を借りるのが難しい人 | 社会福祉協議会 |
求職者支援資金融資 | 失業保険を受けられない求職中の人 | ハローワーク |
奨学金 | 対象の学校に通っている学生 | 日本学生支援機構 |
臨時特例つなぎ資金 | 国からの給付や融資が実行されるまでの生活が成り立たない、住所のない離職者 | 社会福祉協議会 |
日本政策金融公庫の融資制度 | ・教育資金を借りたい保護者 ・個人事業主 |
日本政策金融公庫 |
例えば生活福祉資金貸付制度は低所得世帯や高齢者世帯、奨学金は対象の学校に通っている学生と、人によって利用できる制度が異なります。
国からお金を借りるならまずは自分が申し込み対象か確認し、借り入れが可能な制度を選んで融資を申し込みましょう。
利用条件に合う方法で市役所や国からお金を借りる必要がある
市役所や国からお金を借りるなら、利用条件に合う方法を選びましょう。
公的融資制度は生活に困っている人をサポートする目的の制度で、誰でも利用できるわけではありません。
制度によって厳格に申込条件が定められているため、自分に合う制度を選ぶのが借り入れを成功させるコツです。
例えば生活福祉資金の融資が受けられる生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯だけではなく高齢者や障害者が所属する世帯も利用できます。
生活福祉資金貸付制度では、生活再建のための資金や教育資金の借り入れが可能です。
同じ教育資金が目的でも、日本政策金融公庫の融資制度を利用するなら一定の返済能力がなければいけません。
世帯年収200万円以下の人には優遇制度もありますが、収入がないと借り入れは難しいです。
奨学金は保護者ではなく、学生本人が申し込まなければいけません。
申込条件に合わない制度に申し込むと審査落ちの原因になります。
国からお金を借りるなら、申込条件を確認して適切な制度に申し込みましょう。
公的融資制度の種類によって申込先や利用の流れが異なる
市役所や国からお金を借りる公的融資制度は、種類によって申込先や利用までの流れが異なります。
大まかな申し込みまでの流れは以下の通りです。
- 利用したい制度を決める
- 融資制度を提供している相談窓口に相談する
- 相談の結果制度を利用可能なら申込書類の記入と必要書類の準備を行う
- 利用する制度によっては必要なサポートを受ける
- 審査が行われる
- 審査に通過すれば融資を受けられる
国からお金を借りるなら、まず利用したい制度を決めましょう。
利用する制度によって相談先が異なるので、利用したい制度が決まったら相談窓口を確認します。
例えば生活福祉資金貸付制度やたすけあい資金貸付を利用するなら社会福祉協議会、母子父子寡婦福祉資金貸付制度を希望するなら自治体の福祉担当窓口が相談先です。
分からないときは市役所に出向いて相談すると、担当している窓口に繋いでもらえます。
窓口で相談して公的融資制度の利用が適切と判断されたら、申込書に記入して必要書類を準備しましょう。
利用する制度によっては、生活再建に役立つよう就職支援や職業訓練などのサポートも実施しています。
申し込みを終えたら審査が実施され、通過していれば融資が受けられる流れです。
分からない点があるときは遠慮せず、市役所に相談しながら手続きを進めましょう。
個人が国からお金を借りるときに利用できる融資制度
個人が国からお金を借りるときに利用できる融資制度は以下の通りです。
- 生活福祉資金貸付制度
- 緊急小口資金
- 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
- たすけあい資金貸付事業
- 求職者支援資金融資
- 奨学金
- 臨時特例つなぎ資金
- 看護師等修学資金
- 済組合の貸付事業
- 出産費貸付制度
生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、低所得世帯やひとり親世帯とある程度幅広い人を対象としています。
中には対象範囲が限られる制度もあり、対象となっている人は比較的利用しやすいです。
例えば看護師等修学資金は将来看護師を目指す学生向けの融資制度。
共済組合の貸付事業は、共済組合へ加入できる職業に就いている人のみ利用できます。
複数の制度が利用できるときは金利や利用条件を比較し、無理なく借り入れできる方法を選びましょう。
生活福祉資金は収入が少なくて困っているとき保証人ありなら無利子で利用できる
生活福祉資金は以下の世帯を対象とした貸付制度で、収入が少なくて困っているときに保証人を用意できれば無利子で利用できます。
- 住民税非課税程度の低所得世帯
- 65歳以上の高齢者が所属する高齢者世帯
- 手帳の交付を受けている障害者が所属する障害者世帯
保証人が用意できなくても年1.5%と低金利で借りられ、例えば30万円借りて5年で返済しても利息は11,600円程度しかかかりません。
利息の負担が不安で借り入れを相談できない人も、無理なく利用できます。
住民税非課税になる年収の目安は4人家族で260万円程度※です。
ただし住民税を支払っていると借り入れが不可能なわけではなく、金融機関からの借り入れが難しい世帯なら相談に乗ってもらえる可能性があります。
おおむね市町村民税非課税程度の低所得の世帯。ただし各県の実態に即した弾力的な運用が認められている。
参照元:生活福祉資金貸付制度について│厚生労働省
高齢者世帯は要件が緩和されていて、4人家族で年収600万円程度の家庭なら借り入れが認められるケースも。
障害者世帯は低所得でなくても生活福祉資金を借り受けられます。
生活福祉資金貸付制度の相談先は社会福祉協議会なので、金融機関から借りられないほど生活に困窮している人は年収にかかわらず一度相談してみましょう。
生活福祉資金には種類があり目的に合わせて借りられる
生活福祉資金には以下の種類があり、お金が必要な目的に合わせて借り入れする仕組みです。
資金の種類 | 使い道の例 |
---|---|
総合支援資金 | ・生活再建を目的とした資金 ・賃貸契約を結ぶ費用 ・就職や転職に必要な費用 ・滞納している公共料金の支払い ・債務整理に必要な費用 |
福祉資金 | ・生業を営むための費用 ・福祉用具の購入 ・住宅の増改築 ・病気や怪我の療養費 ・介護サービスや福祉サービスの利用費 ・冠婚葬祭 |
教育支援資金 | 学業に必要な資金 |
生活に困窮しているなら総合支援資金、子どもの教育費が足りないときは教育支援資金と、資金の種類を使い分けます。
生活福祉資金を借りるなら自立相談支援事業の利用が必要
生活福祉資金貸付制度を利用するなら、自立相談支援事業の利用が必要です。
自立相談支援事業とは生活困窮者自立支援制度によって行われている事業で、就職や家計管理の相談に乗ってくれます。
複合的な課題を有している相談者が多いことから、平成27年度の生活困窮者自立支援制度の施行に伴い、自立相談支援事業の利用が原則要件化され、就労支援の充実が図られることとなり、より効果的な貸付が期待されている。
引用元:生活福祉資金貸付制度について│厚生労働省
生活福祉資金貸付制度の利用相談を通して、家計を立て直すための支援も受けられます。
「お金がないとは恥ずかしくて言えない」と思わず、必要な支援を受けましょう。
緊急小口資金は利用条件に合えば審査通過の可能性が高い
緊急小口資金は家計の急変により生活が困窮している人を対象とした資金で、利用条件に合えば審査通過の可能性が高いです。
緊急小口資金は生活福祉資金貸付制度で借りられる資金の1種のため、低所得世帯や高齢者世帯が借り入れできます。
生活福祉資金貸付制度では借り入れまでに1か月程度必要ですが、緊急小口資金は緊急性の高い貸し付けのため1週間程度で融資を受けられるケースも。
緊急性を考慮して審査通過率も99.5%程度と高くなっています。
項目 | 詳細 |
---|---|
累計支給申請件数 | 7,919,233件 |
累計支給決定件数 | 7,882,642件 |
※参照:くらしや仕事の情報│厚生労働省
融資の概要は以下の通りで、保証人の有無にかかわらず利息はかかりません。
項目 | 詳細 |
---|---|
貸付限度額 | 10万円以内 |
金利(年) | 無利子 |
連帯保証人 | 不要 |
返済期間 | 据置期間経過後12か月以内 ※据置期間は2か月以内 |
借りられる金額は10万円までと少額の融資に特化しています。
家計の急変でできるだけ早く対処する必要があるなら、社会福祉協議会に相談して緊急小口資金を利用できないか相談しましょう。
緊急小口資金の借入目的
緊急小口資金の借入目的の上位5つは以下の通りです。
借入目的 | 割合 |
---|---|
初回給与までに必要な生活費 | 38.8% |
年金、保険、公的給付の支給開始までに必要な生活費 | 32.1% |
解雇や休業に伴って必要な資金 | 8.6% |
医療費や介護費の支払いにより臨時で必要な生活費 | 6.6% |
滞納していた公共料金の支払い | 3.6% |
※その他の回答は除く
参照:生活福祉資金貸付制度について│厚生労働省
多くの人が初回の給与や年金が支給されるまでのつなぎとして緊急小口資金を借りている様子が分かりました。
解雇や休業を理由に借り入れした人もいます。
生活が成り立たないときは「自分が借りたい理由でお金を貸してくれるか分からない」と不安に思わず、一度社会福祉協議会に相談しましょう。
ひとり親世帯は母子父子寡婦福祉資金貸付制度を使うと低金利
20歳未満の子どもを扶養しているひとり親世帯や寡婦が国からお金を借りるなら、母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用すると生活福祉資金貸付制度と比較して低金利です。
連帯保証人が用意できるならどちらの制度も無利子で借り入れできますが、連帯保証人がいないときは以下の差が出ます。
制度 | 金利(年) | 30万円借りて5年で返済したときの利息 |
---|---|---|
母子父子寡婦福祉資金貸付制度 | 1.0% | 7,700円程度 |
生活福祉資金貸付制度 | 1.5% | 11,600円程度 |
30万円借りて5年で返済したとすれば、4,000円近く利息を節約可能です。
寡婦とは配偶者との離婚や死別後に再婚していない、原則扶養親族のいる女性を言います。
母子父子寡婦福祉資金貸付制度で借りられる資金の種類は以下の通りです。
- 事業の開始や継続に必要な資金
- 技能習得費用
- 就職時に必要な費用
- 生活費
- 医療介護費
- 修学に必要な資金
- 結婚資金
母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用できるのは保護者だけではなく、資金の種類によっては子どもも借り入れ可能です。
就職に必要な費用や医療介護費用は、子どもの借り入れも認められています。
ひとり親や寡婦の条件に当てはまるなら、より低金利な母子父子寡婦福祉資金貸付制度に申し込みましょう。
自治体によっては独自にたすけあい資金貸付事業を実施している
たすけあい資金は以下の条件を満たす人が借りられる資金で、独自にたすけあい資金貸付事業を実施している自治体に住んでいる人が利用できます。
- 思いがけない出費が原因で日常生活に支障が出ている
- 金融機関から資金を借りるのが難しい
たすけあい資金貸付事業を実施している自治体の例は以下の通りです。
市町村 | 融資額 | 金利(年) | 資金使途 | 融資対象者 | 連帯保証人 |
---|---|---|---|---|---|
八峰町 | 原則50,000円まで | 無利子 | ・学用品購入 ・医療費 ・就職や転職に必要な費用 ・災害 |
八峰町に居住する低所得世帯 | 必要 |
長浜市 | 40,000円以内 | 無利子 | ・離職による収入減に対応する資金 ・一時的な医療介護費 ・給与などの盗難紛失時 ・葬祭費 ・一時的な教育費 ・公的給付や生活福祉資金貸付実行までのつなぎ資金 ・生活必需品の購入 |
長浜市内に6か月以上居住している低所得世帯 | 必要 |
例えば八峰町では町内に居住する低所得世帯を対象として、原則50,000円までの融資を行っています。
特別に認められたときは70,000円まで融資可能です。
医療費や就職や転職に必要な費用などを目的として借り入れでき、12か月間かけてゆっくり返済できます。
長浜市のたすけあい資金貸付事業では居住期間に制限があり、長浜市内に6か月以上居住している世帯しか利用できません。
借りたお金の使用目的は幅広く、葬祭費や生活必需品の購入にも借りたお金を使えます。
上限額は40,000円と八峰町よりも低い設定です。
住んでいる自治体に制度があれば利用できる可能性があるため、制度が導入されているかチェックしましょう。
求職者支援資金融資は失業保険を受け取れない求職中の人が利用できる
求職者支援資金融資は以下の条件を満たす求職中の人が利用できる制度です。
- 失業保険を受け取れない
- 職業訓練受講給付金を受給していても生活費が足りない
- ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けている
失業前に雇用保険に加入していて一定の条件を満たしていれば、失業保険の受け取りが可能です。
以下の理由があり失業保険を受け取れない人は、求職者支援制度を活用する方法もあります。
- 個人事業主やフリーランスから就職を目指している
- 雇用保険の加入期間が足りない
- 失業保険を受給中に就職できなかった
- 学校を卒業したまま一度も就職していない
求職者支援制度は、職業訓練によるスキルアップを通じて早期就職を目指すための制度です。
ハローワークの指示を受けて職業訓練を受講する人は、収入や金融資産の条件を満たすと月額10万円の職業訓練受講給付金を受け取れます。
職業訓練受講給付金を受給していても生活費が足りないときには、求職者支援資金融資を利用可能です。
失業保険を受け取れない人はまずハローワークに相談して、就職までのプランを決めましょう。
求職者支援資金融資の概要
求職者支援資金融資の概要は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
融資額 | 月額5万円または10万円まで |
金利(年) | 3.0% |
連帯保証人 | 不要 ※保証機関の利用が必要 |
借りられる金額は世帯人数によって決まり、5万円または10万円です。
連帯保証人は不要ですが、保証機関を利用する必要があります。
保証機関に支払う保証料は金利に含まれているため、年3.0%に上乗せされる心配はありません。
借り入れの必要がある人は、まずハローワークに相談しましょう。
奨学金は学生本人が学費を目的として借り入れできる
日本学生支援機構が提供する奨学金は、学生本人が学費を目的として国から借り入れできる制度です。
「大学や専門学校で学びたいのに家計が苦しくて通えない」と心配しなくて済むよう導入された制度で、借りたお金は就職後の返済で構いません。
奨学金の種類は以下の3つです。
奨学金の種類 | 返済の必要性 | 利息 |
---|---|---|
給付奨学金 | なし | ― |
第一種奨学金 | あり | なし |
第二種奨学金 | あり | あり |
給付奨学金は返済の必要性がない奨学金です。
第一種奨学金は利息なしで借りられる、返済の必要性がある奨学金。
第二種奨学金は利息が発生し、返済も求められます。
利用できる奨学金の種類や借りられる金額の上限は、家族構成や年収によって決められる仕組みです。
進学する学費が足りない家庭を対象としているため、家計年収が多ければ融資の対象になりません。
学びたい気持ちを応援する制度なので、一定の成績基準も設けられています。
自分が対象となるか大まかな目安が知りたいときは、日本学生支援機構の公式サイトに用意されている「進学資金シミュレーター※」で確認可能です。
高校生のうちに申し込むなら学校から案内があるので、聞き逃さないよう備えましょう。
進学してから家計が急変したときは、各学校で奨学金の申し込みを受け付けています。
保護者の失業や病気で学校に通うのが難しくなりそうなときは、学校に相談しましょう。
臨時特例つなぎ資金貸付制度は公的融資が実行されるまでの生活を支えてくれる
臨時特例つなぎ資金は、公的給付や公的融資制度の利用が決まっているけれど、実行されるまでの生活が苦しいときに借りられる資金です。
例えば「生活福祉資金貸付制度で融資が決まったのに融資実行までの生活費がない」「失業保険の給付が始まるまで生活できない」といったときに、利用できます。
利用できるのは住居のない離職者で、融資の条件は以下の通りです。
- 借りられる資金は10万円まで
- 連帯保証人なし
- 無利子
臨時特例つなぎ資金貸付制度で借り入れをすれば、連帯保証人が不要で利子もかかりません。
住居がなく職にも就いていなければ、連帯保証人を探すのが難しい可能性も。
職に就いていない人は収入を得ておらず、返済が難しくなるケースも考えられます。
利子がかからなければ返済の目途が立ちやすいです。
借りられる金額は10万円と少額ですが、公的融資を受ける前のつなぎなので、融資が実行されると生活を立て直せる可能性が高くなります。
相談先は生活福祉資金貸付制度と同様に社会福祉協議会なので、借り入れの相談をするときに融資までの生活が成り立たないと合わせて相談しましょう。
特定の条件に当てはまる人のみが対象の融資制度もある
国からお金を借りる方法の中には、以下の通り特定の条件に当てはまる人のみ利用できる融資制度もあります。
国からお金を借りる方法 | 融資対象者 |
---|---|
看護師等修学資金 | ・保健師、助産師、看護師、准看護師の養成施設に在籍している ・経済的な理由で就学が困難 ・成績が優秀 ・卒業後5年以上看護業務に従事する意思がある |
共済組合の貸付事業 | 共済組合に加入している公務員 |
出産費貸付制度 | 健康保険加入者 |
看護師等修学資金は、助産師や看護師など看護業務にかかわる人を養成する施設に在学している人が融資の対象です。
卒業後5年以上看護業務に従事する意思も求められます。
借りられる金額は最大10万円で無利子のため、将来看護業務に就きたいけれどお金の問題で就学が難しいときに利用を検討しましょう。
共済組合の貸付事業は公務員が利用できる
共済組合の貸付事業は共済組合に加入している公務員が利用できる融資制度です。
融資の申込先は加入している共済組合で、家具家電や車の買い替え、災害に遭ったときに必要な費用などを借り入れできます。
例えば地方職員共済組合では、借入目的によって金利年0.93%~1.26%で融資可能です。
一般的なローンだと最大年20.0%の金利がかかり、利息の負担が大きい可能性も。
10万円の借り入れなら、1年間で9,000円以上利息を節約できる計算です。
借入額 | 金利(年) | 1年間の利息 |
---|---|---|
カードローン | 18.0% | 10,000円程度 |
地方職員共済組合 | 1.26% | 700円程度 |
借入目的に合うなら、共済組合の貸付事業を利用して利息負担を軽減しましょう。
出産費貸付制度は加入先の健康保険から出産費用を借りる制度
出産費貸付制度は加入している健康保険から出産費用を借りる制度です。
利用できるのは健康保険に加入している妊婦で、加入する健康保険によって詳細が異なります。
例えば協会けんぽでは、加入者本人または扶養家族で以下いずれかに該当すると借り入れ可能です。
- 出産予定日まで1か月以内
- 妊娠4か月以上で病院や産院に一時的な支払が必要
利用したいときは加入先の健康保険協会や市町村役場の国民健康保険課に相談しましょう。
日本政策公庫では教育資金や事業資金が借りられる
日本政策金融公庫では以下の人が借り入れできます。
- 子どもの教育資金を用意したい個人
- 事業費を借りたい個人事業主
日本政策金融公庫は、政府金融機関として一般の金融機関が行う金融の補完を目的としています。
教育費目的で利用する国の教育ローンは個人が借入可能な資金です。
日本政策金融公庫は主に事業者向けの融資を行っているので、事業費を借りたい個人事業主や中小企業にも最適。
スタートアップ企業への支援や小口融資も行っていて、一般の金融機関からの借り入れが難しい個人事業主も借りられる可能性があります。
日本政策金融公庫は国民生活の向上への寄与も目指していて、低金利で借りられる可能性も。
借入目的に合うローンがあるなら一度審査を受けてみましょう。
国の教育ローンは教育資金を用意したい保護者向けの融資
国の教育ローンは個人向けのローン商品で、教育資金を用意したい保護者が利用できます。
日本学生支援機構の奨学金との併用も可能なので、奨学金だけでは学費を補えないときに親子で協力して乗り切りましょう。
国の教育ローンの融資条件は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
融資額 | 350万円まで ※条件によって450万円まで |
金利(年) | 2.85% |
連帯保証人 | 必要 ※教育資金融資保証基金の利用も可能 |
※2025年7月現在
融資額は350万円までで、金利は年2.85%です。
教育ローンを提供している銀行によっては、金利に幅が設けられていて審査結果が出るまで金利が分からないケースも。
国の教育ローンは金利が統一されているので、返済計画を立てやすいです。
以下の人は0.4%の金利優遇が受けられ、国の教育ローンを利用するメリットが大きいので、他の金融機関のローンより優先的に利用を検討しましょう。
- 交通遺児家庭
- ひとり親家庭
- 年収200万円(所得132万円)以内の世帯
- 子どもが3人以上で年収500万円(所得356万円)以内の世帯
返済期間は20年以内でよく、ゆとりを持った返済計画も立てられます。
在学期間中は利息のみの支払いでも構わないので、子どもが学生のうちは学費の支払いに集中したい人も審査を受けてみましょう。
個人事業主が事業目的でお金を借りる制度も用意されている
日本政策金融公庫には、以下の例の通り個人事業主が事業目的でお金を借りる制度も複数用意されています。
制度 | 借入目的 |
---|---|
創業融資 | 以下の人の資金調達 ・新たに事業を始める ・事業開始後税務申告を2期終えていない |
企業活力強化資金 | 合理化のための設備投資 |
海外展開・事業再編資金 | 海外展開に必要な資金 |
経営環境変化対応資金 | 一時的な業況悪化時に経営基盤の強化を図る |
創業時には営業実績がないため、資金調達ができないケースも多いです。
日本政策金融公庫の創業融資は、新規開業者やスタートアップ企業を重点的に支援しています。
企業活力強化資金は、合理化や販売促進を目的とした設備投資に利用できる資金です。
例えばキャッシュレス決済の導入で顧客を獲得したい、ショッピングセンターに入居するといった改善を行うときに借り入れできる可能性があります。
海外展開・事業再編資金は海外展開を希望する企業が借りられる費用です。
活動拠点を国内に残したままなら、海外での利用も含めて設備資金や運転資金を借りられます。
経営環境変化対応資金は、一時的に業況が悪化している企業向けの融資です。
セーフティーネットとしての役割を持ち、中長期的な業況の回復や発展を目指すために借りたお金を利用できます。
新規創業時から業績が悪化したときに利用できる資金まで、幅広い融資制度から選んで申し込み可能です。
企業の状況に合った融資が分からないときは相談に乗ってもらえるので、日本政策金融公庫に連絡しましょう。
相談内容によってはオンラインでの対応も可能です。
来店が難しいときはオンラインも活用しましょう。
市役所や国からお金を借りるメリットと注意点
市役所や国からお金を借りる方法には、以下のメリットと注意点があります。
項目 | 詳細 |
---|---|
メリット | ・無利息や低金利で借りられる制度がある ・信用情報に問題があっても借りられる可能性がある |
注意点 | ・即日融資はできない ・必要書類が多い |
国から借りる方法は利用者の生活の立て直しを目的としているため、無利息や低金利で借りられます。
金融機関の審査に通らない人も融資を受けられる可能性があり、困っている人にぴったりです。
ただし借り入れまでに時間がかかり、利用条件に合っているか確認するために必要書類も多め。
メリットとデメリットを両方把握して、市役所や国からお金を借りるか判断しましょう。
国からお金を借りると利息負担が少なくて済む
国からお金を借りると無利息や低金利の融資制度が多く、利息負担が少なくて済みます。
例えばカードローンなら金利年18.0%程度が一般的です。
30万円借りて3年で返済すると、90,500円程度の利息を支払わなければいけません。
生活福祉資金貸付制度で保証人を用意して無利子で30万円借りたとすれば、90,500円分負担を軽減できます。
国からお金を借りると、信用情報に問題のある人や申し込み時点で収入のない人が審査に通る可能性も。
信用情報はローンやクレジットの利用履歴に関する情報で、信用情報機関に保管されています。
ローン申し込み時点で延滞や過去に長期延滞の情報が記録されていて、信用情報に問題があると判断されれば、返済能力がないとみなされて審査に通りにくいです。
申し込み時点で働いていない人も、返済ができる状態ではないと判断されて審査落ちします。
国の融資制度はセーフティーネットの意味も持つため、信用情報に問題のある人や申し込み時点で働いていない人も融資の対象です。
利用する資金の種類によっては就職支援も受けられ、生活の立て直しに繋げられる可能性もあります。
生活に困っていてできる限り利息を払いたくないときや、信用情報に問題があって金融機関のローン審査に通らないときは、国からお金を借りましょう。
市役所や国からお金を借りるときは即日融資が難しい
市役所や国からお金を借りるときは融資までに1か月程度かかるケースも多く、即日融資は難しいです。
緊急性の高い状況に対応できる緊急小口資金でも、融資までには1か月程度かかります。
臨時特例つなぎ資金貸付制度を利用すれば公的融資が実施される時期まで乗り切れる可能性もありますが、「今すぐお金が必要」といった要望には対応できません。
国からお金を借りるときは融資条件に合っているか厳密に確認されるため、必要書類も多いです。
例えば生活福祉資金貸付制度の必要書類は以下の通り。
- 借入申込書
- 世帯全員記載の住民票
- 健康保険証
- 世帯全員分の所得証明書
- 個人情報保護に関する同意書
- 生活福祉資金貸付確認申請書
申込時に記入する借入申込書に添えて、家族全員が記載されている住民票や家族全員分の所得証明書の提出が求められます。
手続きに時間や手間はかかりますが、生活に困窮しているときには頼りになる制度です。
困っているときは迷わず融資制度の提供元に相談しましょう。
公的融資の利用条件に合わない人は民間の融資方法を利用する
国からお金を借りる公的融資の利用条件に合わないなら、以下の民間の融資方法を利用しましょう。
- カードローン
- ビジネスローン
- 質屋や保険の契約者貸付など審査のない融資方法
審査に通る状況にあるなら、カードローンで借りると短時間で融資を受けられる可能性も。
カードローンは一度契約すると利用限度額の範囲内で繰り返し借りられ、困ったときに備えられます。
個人事業主が事業目的で借り入れを希望しているときは、ビジネスローンで対応できる可能性も。
申込先を選べば、赤字決算でも融資を受けられるケースがあります。
現在延滞中や過去に滞納した経験があってローンの審査に通らない人は、質屋や保険の契約者貸付など担保を用意する融資方法なら、審査を受ける必要がありません。
審査通過の可能性や借入目的に合わせて借り入れ方法を選び、必要なお金を用意しましょう。
審査に通る可能性があるならカードローンで借りるとスピーディー
審査に通る可能性がある人は、カードローンでお金を借りるとスピーディーです。
例えば大手消費者のカードローンなら、最短3分~25分程度での融資にも対応できます。
カードローンの審査に通るには以下の条件を満たさなければいけません。
- 毎月安定した収入を得ている
- 申し込み時点で延滞や過去に長期延滞をしていない
- 他社から借りすぎていない
カードローンは利益を上げる目的の商品なので、返済できない人には融資を行いません。
延滞の経験があると返済できない人と判断されやすいです。
他社から借りすぎていると、今以上に借りても審査に通らないと思われます。
年収の3分の1近い借り入れがあると、審査通過は難しい傾向です。
条件を満たしている人は金融機関からの借り入れも可能と判断されて、国の融資制度の審査に通りません。
どちらか判断できないときは一度カードローンの審査を受け、借り入れが難しければ国の制度を利用できないか相談しましょう。
個人事業主はビジネスローンも検討する
個人事業主が事業目的でお金を借りるなら、ビジネスローンも検討しましょう。
ビジネスローンは事業者が事業資金を借りる専用の商品。
審査が不安なとき柔軟に対応してくれる可能性があるのは、消費者金融のビジネスローンです。
銀行のビジネスローンは審査が厳しい傾向にあり、国からお金を借りる方法も検討している事業者には向きません。
例えばビジネスローンを提供している消費者金融のAGビジネスサポートは、公式サイトで以下の人でも融資の可能性があると明言しています。
- 赤字決算
- 債務超過
- 銀行リスケ中
過去の財務状況のみではなく現在の状況までふまえて審査してくれるため、赤字決算や債務超過でも審査を受ければ通るケースがあります。
審査が不安なときは赤字決算や債務超過でも利用可能と明言しているビジネスローンを選びましょう。
審査通過が難しい人は審査のない方法でお金を借りる
国からお金を借りる方法が利用できず金融機関の審査にも通らないなら、審査のない以下の方法でお金を借りましょう。
- 質屋
- 保険の契約者貸付制度
質屋は預けられる品物があればお金を借りられるため、審査に通らない人でも利用しやすいです。
自宅にあるブランド品や時計を預ける質入れでお金を借りて、生活の足しにしましょう。
質屋で万が一返済が滞っても、預けた品物が売却されて返済に充てられる仕組みがあるため、督促を受ける心配もありません。
ただし預けた品物を失うので、失っては困るものを預けるのは避ける必要があります。
どうしてもお金が必要で品物を手放すつもりなら、質屋の買取を利用しましょう。
買取は保管料がかからない分、質入れより査定額が高くなりやすく、1割~2割程度高額査定が出るケースもあります。
保険の契約者貸付制度は以下の解約返戻金がある保険の契約者向けの借り入れ方法です。
- 養老保険
- 終身保険
- 学資保険
- 個人年金保険
保険の解約に備えて積み立てられているお金を担保に借りる方法で、保険の解約は必要ありません。
万が一への保障を残したまま、生活に必要なお金を用意できます。
生活が苦しくても万が一に備えて保険を残しているなら、契約者貸付制度が利用できないか確認しましょう。
制度を利用するときは担当者や生命保険会社に連絡すると対応してもらえます。
国からお金を借りる方法が知りたい人によくある質問
国からお金を借りる方法について知りたい人によくある質問は以下の3点です。
- 生活保護を受けていても国からお金を借りられますか?
- 国からもらえる返済義務のない給付金はありますか?
- どうしても国からお金を借りるのが難しく働けないときの対処法はありますか?
生活保護を検討している人からは、生活保護を受けていても国からお金を借りられるか知りたいとの声があります。
返済が不安な人や働けない人は、給付金の有無や働けないときの対処法を知っておくと万が一に備えられる可能性も。
疑問がある人は事前に解消して、国の制度を活用するか判断しましょう。
生活保護を受けていても国からお金を借りる方法はある?
生活保護を受けている人は、原則国からお金を借りる方法は利用できません。
生活保護費は必要最低限度の生活を送る目的でしか使えず、借り入れの返済は対象外です。
どうしてもお金が足りないときは、ケースワーカーに相談しましょう。
事情によっては一時的な生活保護費の引き上げに応じてもらえる可能性もあります。
自分の判断で借り入れをすると借りたお金が収入として扱われ、生活が圧迫される可能性も。
困ったときはケースワーカーへの相談を徹底しましょう。
国からもらえる返済義務のない給付金もある?
生活に困っているときは、国から返済義務のない以下の給付金をもらえる可能性もあります。
- 給付奨学金
- 住宅確保給付金
- 職業訓練受講給付金
世帯年収の低い家庭が日本学生支援機構の奨学金に申し込むと、返済義務のない給付奨学金が受け取れるケースもあります。
住宅確保給付金は失業や減収で家を失う可能性のある人に対して支給される、家賃相当額の支援が受けられる給付金です。
職業訓練受講給付金は、失業保険を受け取れない人が早期就職を目指して職業訓練を受ける際に支給されます。
給付金が受け取れると返済に追われず生活を立て直せる可能性もあるため、困ったときは市町村役場に相談しましょう。
どうしても国からお金を借りられず働けないときの対処法は?
どうしても国からお金を借りられず、けがや病気で働けないなら、一時的に生活保護を受けて働ける状態になるまでの時期を乗り切りましょう。
生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度のため、生活できない状態なら保護を受けられる可能性があります。
生活保護を受けたいときも、市町村役場に相談しましょう。